出産で入院する日の朝、トイレにいったらちょうどおしるしがあった。
その足で母の寝室へ報告に行った。
その日は特に暑い朝で、寝室には強い初夏の日差しが入り、母はご来光を受けてとても優しい顔をしていた。
なんとなく、この瞬間はずっと忘れないだろうなと思った。
娘が産まれて6か月が経った。
季節は梅雨からクリスマス目前に。
あっという間というよりは、しっかり6ヶ月あったという感じ。
PCに向かっている今、娘は抱っこ紐の中でスヤスヤ眠っている。
くぅ、、、愛おしい。
出産のことも、育児のことも、心境の変化も、もちろんヨガのことも。
日常に書きたいことは山ほどあったけど、どうしてもPCに向かう時間が持てなかった。
いや、時間はいくらでもあった。
心の余裕がなかった、が正解だろう。
産後、一般的に起こるであろうホルモンバランスや心の変化で一番びっくりしたのは「ガルガル期」。
(仔を出産したメスが外敵をガルガルと威嚇し仔を守ろうとする母性本能から気性が荒くなる期間を言う)
噂には聞いていたけど、顕著に自分にも現れるとは。
この時は特に子供が最優先事項だから、自分のことは二の次、家族にさえ発令する。
例えば、娘がお昼寝して時間がぽっかり空いたとき、家の用事やヨガをしていても、心がガルガルしていて忙しく集中まで持っていくのが難しい。
自分が守らねば!精神が働いて、全部自分がやらないと気が済まない。
少し泣いただけで飛んでいく。
とにかく脳内シェア度100%、子がさらっていく。
なんだこれはーーー!状態がしばらく続いた。
分娩台の上で感じたように、とても野性味に溢れ動物的になっている人間の構造が不思議で。
何事も経験しないとわからないことだらけだと改めて思ったのだった。
忘れない内に、出産のことも少し。
まず、痛い痛いとは聞いていたけど、本気で死ぬほど痛かった・・・
世の母はこんな道を通ってきたのかと愕然。
計画無痛分娩を選んだにも関わらず、だ。
(私の場合、麻酔を5度ほど打ち直したが効かずに終わった。笑)
そして、先輩ママから聞いていた通り出産の痛みは忘れてきている。
いや、覚えてはいるが、私は産前のつわりの方がよほどきつかった。
産む行為はもう一度できるが、つわりを思うと次の出産は躊躇する。
そして、出産中。
不思議なことに陣痛に耐えながら、心の中ではずっとご先祖や私を産んでくれた母に感謝していた。
(もちろん、早く終わってくれとも思っていたが)
綺麗ごとではなく、想像を絶した痛みの中で心に浮かんだことは、
こうやって何代にも渡って命は紡がれてきたんだなということ。
出産中は自分に起こっていることがひたすら衝撃で、頭も追いつかず最後まで訳がわからなかった。笑
ずっと目をつむって、8カウントでとにかく呼吸に集中した。
呼吸である程度痛みは逃せたから、ヨガをやっていてよかった。
動物のように、本能のまま産み落とした!というのが総括。
実体験を通して、こうやって命は繋がれてきたのかと心底納得することができた。
母は強し、とよく言うけれど、そりゃ強くなる訳だ。
6/11 15:44 娘が産まれた。19時間の出産だった。
大きな産声をあげてと言いたいところだが、娘は羊水を飲んで泣かなかった。
だから、私が初めて娘に声をかけた一言は「泣いて〜」だった。
羊水を吸ってもらって、聞こえた産声は、想像していた「おんぎゃー」ではなく低音ボイスで「あーーー」という感じ。
あれ?笑
兎にも角にも、娘、無事誕生。
娘が助産師さんに処置されている間、自分のお腹をごそごそ触ってみる。
まだ妊娠6か月程度の膨らみはあったけれど、しぼんだお腹を感じて、あぁようやく妊婦生活が終わった・・・と安堵した。
そして、胸元にやってきた娘に初めて触れて「これからよろしくね」と声をかけた。
目があった時、初めましてという感じはなく、すっと自分の中に入ってきた不思議な感覚。
そこから、新しい生活がスタートした。
子の存在は、女性を母にし、とんでもない力を与えてくれる。
眩しくて、尊くて、
存在は未来そのもの。
娘を見ながら毎日思うこと。
「産まれてきてくれてありがとう、私を母にしてくれてありがとう。」
きっと世のお母さんは同じ気持ちだろう。
娘よ。
幸せに満ちた人生を歩んでね。
ずーっと見守っているからね!
追伸
懸念していた子宮頸癌は、ラッキーなことに出産したことで悪性細胞が流れ、産後の2度に渡る精密検査の結果も異常なしでした。こんなこと、あるんですね。
娘に感謝。
自分ごとのように心配いただいた優しいみなさん、本当にありがとうございました。
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余談
コロナ禍で立ち合いや面会は完全NGでしたが、逆に集中できて私はそれがよかったです。
お産中のマスク着用も、すんごい顔でも気にせず思いっきりいきめたからマル。息苦しければ外せば良し。
これから出産を控える妊婦さん、大丈夫です。
医療のプロたちは、人として尊敬に値するかっこよさと心強さでした。
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