バイロンヨガセンターにレジェンド的な存在が住んでいる。
その名はリタ。スイス出身の最年長。
ここのスタッフとして働くリタは、初めて目た瞬間に誰でも興味が沸いてしまうと思う。
なぜなら、寒くても暑くてもいつでもビキニだから。
所構わずいつもご機嫌に大声で歌ってるから。
何よりも、ハッピー全開だから。
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リタとはこんな人。
寒いのが大嫌いで、夏と太陽を好み、雨が降れば恵みの雨と喜び歌う。
裸族。だから公共の場ではビキニを着る。
(冬はビキニに足元はUGG そしてくしゃみ 笑)
無駄なプラスチック消費に誰よりも厳しく、ゴミ分別のスペシャリスト。
ここに住んでおきながら、グルテンフリーは大嫌いと顔をしかめ、
冷凍食品のストック量は施設イチ。
記憶力が非常によく、人が敬遠する仕事を快く引き受け、自然に植物に動物に惜しみなく愛情を注ぐ。
(ネコ同士が喧嘩していたら声をあげて本気で怒りに行く)
新スタッフの名前をいち早く覚え、ここの一員であることを示してくれる。
その存在が人を潤し、みんなの心の拠り所的存在。
それがリタ。
言うまでもなく、私は初めて会った日からリタの虜。
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リタは、毎朝何十人といるスタッフにハグとキスの挨拶を欠かさない。
その毎朝のルーティンで30分は使っているんじゃないか?と思うが、
距離の縮め方、コミュニケーションの大事さをリタから学ぶ。
何となくリタに話した小さな心配事を、翌日になって、そういえばあれどうなった?と聞いてくれるが、
私だけでなく他のスタッフの'今'も把握して会話に混ぜてくるから記憶力の良さには本当に驚く。
どうしても誰かにリタのことを話したくなってしまう。
それほどに奇特な人。
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リタの朝ごはんの定位置は、広い空が一番よく見えるベンチ。
その時間にお邪魔して、リタに質問をしてみた。
故郷スイスからなぜオーストラリアにきたのか、パートナーとの出会い、どうやってこのヨガセンターに辿り着いたのか。
たくさん話してくれた。
わかったことは、ヒッピーであり誰よりもヨギーだということ。
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リタは23年前にオーストラリアに来て、定住を持たずバン(日本でいうキャンピングカー)で国内を巡っていた。
そのバンは、ルーフテントが自慢の日本からの輸入車で、どこに行っても褒められて、
売ってくれないか?とよく声をかけられたそう。
そのバンがあれば居場所はどこでもよかったから、絶対に売らなかった。
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バイロンベイに辿り着いた時に、他とは違うこの土地の魅力を感じ、近くに住むことにした。
程なくして、ここのセンター長のクラスに出会いヨガに夢中になった。
1日に何クラスも受けて、どんどんヨガにのめり込んでいったそう。
それが縁で、今ここに住む。
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と、もっと踏み込んで話をしてくれたが、後はプライベートなことなので割愛したいのと、リタは謎めいているくらいがちょうど良い。
何よりも太陽が好きなリタは、寒い故郷スイスに帰る気は全くないらしい。
ただ一つ心残りなのは、妹が恋しいということ。
仮に誰かが亡くなったとしても、この世のお勤めが終わっただけで、魂は残ると思っていること、
だからずっとは悲しまないということ。
何かを決断することは大切だが、その過程でどうにもならないこともある、
そんな時はそれが運命だから従うしかないと考えていること。
これからの人生プランは未定だということ。
でも、思い立った時がその時だと考えていること。
これが、リタ的人生哲学。
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リタは定期的にバイロンベイの象徴ライトハウス(灯台)を訪れて、この街を照らしてくれてありがとうとお礼参りをする。
道中は、必ずゴミを拾いながら登って、陰徳を積む。
カルマヨガを地で行く。
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落ちてた鳥の羽を髪飾りに、ビキニやレインボーの服を纏って、センター中をうろつくリタを目撃すると自然と笑ってしまう。
誰よりも声が大きくて、しかめっ面をしていたと思ったら、何かを見つけて笑顔に変わる。
笑顔の理由は、咲いたばかりの花だったり、かわいい猫の仕草だったり、綺麗な夕日だったり。
今日も遠くから聞こえてくるリタの笑い声を聞いて、
私は間違いなくリタが恋しくなるなと、ここを出るまでの日数を惜しみながら数えてしまう。
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